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エッジAI対応コストを大幅削減!AIソリューション開発に集中できる「Actcast」の真価 〜Idein × AMBLの共創事例〜

作成者: author|2024/03/12

生成AIが大きな話題となった2023年は「AI元年」とも言われ、AIという単語を身近で聞く機会が急激に増えてきました。こうしたなか、小売や製造をはじめとする様々な業界で、AI技術の実装による作業の自動化や効率化、新たなサービスの創出が期待されています。

この高まるAIニーズに応えるため、AI関連企業は各社の強みを活かして共同で事業を展開し、次世代のエコシステムを形成する必要があります。その一例が、エッジAIプラットフォーム「Actcast」を運営するIdeinと、独自のAIエンジンから様々なAIアプリを開発するAMBLの協業です。

本記事ではAMBLのCEO・毛利政弘さんと、IdeinのCEO・中村晃一の対談をもとに、AI関連企業同士がパートナーシップを組む重要性をお伝えします。

目次

  1. AIの社会実装は“役割分担”で加速する
  2. 変化する顧客ニーズと、AI企業が真に提供すべきもの
  3. 共創で広がるAIの可能性
  4. Actcastパートナープログラムのご案内

AIの社会実装は“役割分担”で加速する

IdeinとAMBLの協業では、AMBLが開発した小売・製造業をはじめとする様々な業界向けのAIモデルを、エッジAIカメラ※を用いてIdeinのエッジAIプラットフォーム「Actcast」に対応させます。
(ご参考:Idein公式ブログ『エッジAIカメラ「ai cast」のご紹介』

この協業は、Ideinが「プラットフォーム(インフラ)」、AMBLが「ソリューション開発」の“役割分担”をしたものであり、とても重要な意味があります。

協業のイメージ図

例えばソリューションを開発したい企業が、インフラやテクノロジーまで自社で手がける状況が続けば、開発コストが高騰してしまうか、もしくはプロダクトの品質が下がってしまいます。その結果、企業への実装が進まず、結果として社会の利益になりません。しかし“役割分担”をすれば、お互いの長所を活かすことができます。

「一時期、プラットフォーム開発を考えたこともありましたが、業務範囲が広くなる分、投資リスクも高くなってしまう点が気がかりでした。それよりも、Ideinさまをはじめアライアンスを組むパートナーの皆さまにアプリケーションを提供していただくほうが理に適っていると判断し、今回の協業に至りました」(毛利さん)

AMBL株式会社 代表取締役社長 CEO 毛利政弘様

「プラットフォーマーであるIdeinとしては、インフラ開発に注力する必要があり、そうでなければビジネスがまともに成立しません。また、リソースが限られているなか、ソリューション開発にも手を付けて、その両方を機動的に動かしていくことは難しいでしょう」(中村)

本協業では、組み込み開発、遠隔操作などのデバイス制御に関わる部分を全てIdeinが担うことで、AMBLはソフトウェア開発コストを削減できるだけでなく、AI開発のみに集中することが可能になりました。これにより、従来よりもスピーディなAIアプリの展開が実現するとともに、両社のエンジニア同士が密にコミュニケーションを取ることで、システムの改善スピードも向上するなど様々な相乗効果が生まれています。

AIアプリ開発とハードウェア設置にかかるコストの削減イメージの図

変化する顧客ニーズと、AI企業が真に提供すべきもの

AMBLはAI領域の中でも特に画像解析を得意とし、特に2019年頃から、コロナ対策向けにAIを利用した画像解析による密集度の検知や、体温を測定する画像解析技術など、さまざまな取り組みを行ってきました。

現在では人数カウントや性別・年齢判定などのアプリケーションの開発のほか、運送業者向けの配達ルート最適化システムの開発プロジェクトなどにも参画しています。

そして、そこで培った独自のノウハウや教師データをもとに、AIモデルへの追加学習やアルゴリズムの機能追加を行った「AIエンジン」を大きな強みとしています。

「このAIエンジンを活用することで、お客さまのご要望に合わせながら、短期間かつ開発コストを抑えた形でAIをアプリケーション化していくことがAMBLのAIモデルの特長です」(毛利さん)

以前はコストが高く手が出しづらかったAIによる人検知技術も、最近では手頃な価格で提供されるようになってきました。そのため、顧客が具体的な課題を解決できるサービスを選ぶケースも生まれてきています。

しかし、大半はそうではありません。毛利さんは「残念ながら、AIを導入することがゴールになってしまっているお客さまも少なからずいらっしゃいます。その場合、お客さまが抱えている課題を明確にすることで、ご要望に合わせたオーダーメイド型の提案をしていくことが『伴走型支援』を掲げる我々の仕事です」と強調します。

顧客ニーズに応えたものをAIで提供することの重要性に、中村も強く同意します。

「AIベンチャーは数多くありますが、なかなかビジネス化に至っていません。それは、AI“だけ”があっても価値にならないという当たり前の話です。お客さまとしても、実際に現場に導入し、使ってみて初めて価値が分かります。まず使っていただいて、そこからフィードバックを得て改善するサイクルを回すことが重要なんです。いくら予算をつぎ込んでも、お客さまに使っていただけないと品質の高いAIにはならないーーそこが従来のソフトウェア開発との大きな違いです」(中村)

Idein株式会社 代表取締役 / CEO 中村晃一

IdeinとAMBLの協業における具体的な取り組みの一つとして、鉄道の駅で使われる「白杖・車椅子検知」があります。

視覚障がいがあり白杖(はくじょう)を使用する人や、車椅子の利用者など介助を必要とする人が改札前にいる場合に、AIカメラによってリアルタイムに検知し、駅員がその存在を速やかに把握してサポートすることができます。すでに鉄道事業者で実証実験が行われ、そこで得られたデータをAMBLが分析し、さらなる改善に取り組んでいます。

「『白杖・車椅子検知』は、AIで困っている人を助けられるソリューションです。テクノロジーによってそうした重要な課題を解決できることは、非常に有意義な取り組みだと思っています」(中村)

共創で広がるAIの可能性

IdeinとAMBLの協業による今後の展望について、毛利さんは次のように話します。

「以前は、イニシャルコストや管理コストの面でお客さまの導入ハードルが高く、弊社としてもその点はネックになっていました。そんな中、Ideinさまとパートナーシップを組ませていただくことで、コスト面はもちろん、低遅延処理プライバシーリスクの低減などエッジAIプラットフォームの利点を活かした提案ができるようになり、お客さまにとっても検討の幅が広がりました。特に今年は『2025年の崖』を目前に控え、企業のDX化が一層加速することを考えると、『Actcast』が過去にAI導入に失敗した企業にとって再検討するきっかけにつながると思っています。また現状、AIの利用については“可視化”で止まっているサービスも多い。そこを進展させて、AIが得意とする“予測”や“最適化”の領域まで両社で支援できることを期待しています」

今後のAI利用の可能性について、日本の人手不足の課題解決にも役立つと中村は展望します。

「小売業ではデータ利活用の文脈でAIが大きく進歩し、レポート生成までをすべて自動化できるなど、生み出せる価値が一気に大きくなりました。同じように、AIの利用で製造業も今後大きく伸びると思っています。それは、人手不足が顕著になる領域だからです」

そして、次のように続けます。

「例えば、安全監視をAIで行いたいというご相談が実際にありますし、国としても力を入れています。『人手不足で安全を保証できないから一つのエリアを減らしましょう』とはならないはずで、そこをAIで補うなどのニーズが出てくるでしょう」(中村)

AIの社会実装は決して簡単ではありませんが、今回ご紹介したようなパートナーシップが拡大することで、より大きな社会的価値を生み出していけると考えています。「Actcast」を基盤とする次世代エコシステムの形成に向けて、今後も様々な取り組みを進めていきます。

トップ同士のインタビューは和やかな雰囲気の中、実施されました

Actcastパートナープログラムのご案内

Ideinでは今回ご紹介したAMBL様のように、エッジAIの社会実装を共に推進いただけるパートナー企業様を随時募集しております。

本ブログをお読みになって、私たちの考えや活動に共鳴し、パートナープログラム(無料)にご興味を持たれたり、プログラムへの参加をご希望の企業様は是非、以下のお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。

お問い合わせいただいた内容に沿って、担当よりご連絡いたします。