当社は、東京都と協働して都政現場の課題解決を目指す「現場対話型スタートアップ協働プロジェクト」において、東京都交通局が運営する鉄道路線(都営地下鉄)の乗客量をAIカメラで可視化する実証実験を実施しました。
「現場対話型スタートアップ協働プロジェクト」は、優れたスキルや技術を有するスタートアップと東京都が協働し、都政現場における課題解決を目指す公募事業です。Ideinは2023年12月に、東京都交通局(電車部)の課題解決に向けたプロジェクトに採択※1されました。
東京都交通局は、都営地下鉄、都営バス、東京さくらトラム(都電荒川線)、日暮里・舎人ライナーを運行しています。地下鉄等の運行に当たっては、ダイヤ(運行計画)策定のため、どの駅で・どの車両に・どのくらいの乗降量が発生しているかを正確に把握する必要がありますが、現在は職員が目視で測定しているため、測定場所や時間、車両が限定的であることが課題でした。これをデジタル技術を使うことで解決を目指したのが今回の取り組みとなります。
今回の実証実験は、その可能性を探る第一歩として当社のエッジAIプラットフォーム「Actcast」に繋がったエッジAIカメラ「ai cast」※2を活用し、2024年2月に地下鉄の1駅で実施しました。
※1 Idein、東京都と共に都政現場の課題解決を目指す「現場対話型スタートアップ協働プロジェクト」に採択(当社プレスリリース)
※2 エッジAIカメラ「ai cast」についてはこちら(当社公式ブログ)
都営新宿線 神保町駅ホームにai castを設置し、AIアプリを活用して車両内の乗車人数、停車時の乗降人数を計測。併せて、その環境におけるAI精度をより向上させるため、交通局職員による目視での人数計測も行い、双方の結果を比較検証しました。
「ドア前」と「車窓」に映った乗車人数を計測
その結果、「乗車人数」は、ドア前エリアについては非常に高精度な計測が実現しました。一方、車窓エリアについては、車窓に貼られたUVカットフィルムの影響などにより、ドア前エリアに比べて精度が低くなりましたが、AIカメラ設置位置の変更やAIモデルの再学習により改善する見通しです。なお、車窓エリアの精度が向上した場合には、実際の車両構造をもとにしたシミュレーション上、計測精度は90%以上となり、実用に足る運用が可能になることが期待されます。
また「乗降人数」は、乗車・降車のいずれも、AIによる人物検出に100%成功しました。実運用に向けては、混雑時の車両および時間帯でのさらなる検証を行うことが必要となります。
今回のプロジェクトでは、AIカメラで乗客量データを取得・可視化することで、東京都交通局をはじめとする鉄道事業者の課題解決につながる多くの示唆が得られました。少子高齢化が進む日本において、公共交通機関の重要性はますます増しています。その一方で、人口減少により収益化の難しい路線も少なくありません。そのため、利用者数に応じた適切な人員配置や運行スケジュールの最適化が求められています。なお、最適化に向けた取り組みは、その確からしさを確認するために、継続的に経過観察をすることが重要です。
Ideinは本プロジェクトで得られた知見も活かし、鉄道・交通領域におけるエッジAI活用を通じて、データを基にした課題解決を推進してまいります。
エッジAIカメラはクラウドAIカメラに比べて圧倒的にセキュリティに優れています。取得した画像や映像はカメラ内でリアルタイムに処理され、クラウドへは送られません。サーバーに送信されるデータには個人を特定する情報は含まれておらず、分析された結果のテキストデータのみです。画像や映像はカメラ内に残らないため、万一の端末の盗難などによるデータ流出のリスクもありません。
▼プレスリリースはこちら(外部サイト:PR TIMESへ遷移します)
Idein、東京都との協働プロジェクトで鉄道DXを推進 都営地下鉄の乗客量データをAIカメラで取得・可視化